「かあさん、あした水筒お願いね」
娘は、生まれて初めていくスキー教室の持ち物を、わくわくしながらリュックに詰めていた。
本州出身の私たちはそれほどスキーが得意ではない。注意事項の、「スキーのビンディングは、あらかじめ調節して来て下さい」って何?こんな調子だから教えるどころではない。年中組になったらスキー教室に行かせるのが、夢だった。
次の日、おやつも水筒も入った重いリュックをしょって、あとも振り返らず、スキー教室にとけ込んでいった。
ストックは持たずに、転ぶ練習、片足履いて歩く、両足履いて歩く。前に進まないよちよちペンギン達が、かわいい。脱ぐ練習、滑って行って転ぶ、滑って行って止まる。
「よーし、これから先生と一緒に、だるまさんが転んだをするよ」これがとても楽しかったらしい。
そして、リフトでの注意事項を教えると、もう子どもをリフトに乗せてしまった。先生はすごい。リフトから降りてすぐの急斜面は、先生が子どものスキーを全部持ってくれる。少しなだらかなところまで来て、板をはいて滑り始める。「ジャンプして滑り始めて、グーで滑って、パーで止まって」
午後。スキーの先に魔法の金具(スキーがハの字になりやすいようにする)をつけて、両手を広げたり、片方下ろしたりしながら曲がるこつをつかんでいく。
ゲレンデで見ている親たちの頭上を誇らしげにリフトに乗っていく。先生について、シュプールらしきものを描いて降りてくる。
もう、すでに父さんより、うまい。
この日の子どもは、自信に満ち溢れ、達成感が伝わってきた。いつもは車に乗るとすぐ寝てしまうのに、興奮してしゃべりまくり、スキーについていっぱい教えてくれた。
(2005年2月10日・記 北原洋子)
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